とーちゃんのはなし
幼い頃、CMを見て「なんで保険ってはいるの」と言ったことがあります。それは生命保険のCMだったと記憶しているのですが、実際にはどうだったか。私にはどの保険も疑問の対象でした。何が疑問かというと、保険を「かける」といいますが、それが「賭ける」とどうちがうのか分からなかったのです。ギャンブルじゃん、高いお金払ってなんてことしてんだ! といった思考だったわけです。
父は私に少し憤慨したように「この気持ちがわからんか! 何かあったら困るだろうが」と言います。しかし納得しませんし負けもしません。私は生意気盛りでしたから。
「何かなかったらお金払っただけじゃん」
「何にもなかったら、なかったからよかったなぁってなるからいいんだよ! あと返ってきたりもするの。ホントに全部なくなるのと違うの!」
「全部かえってくるんじゃないって私しってるよ」
「それは何にも悪いことおこらなかったから気にならないの!」
「マージャンでお金使たーっていうのと同じでしょ!」
「同じじゃないよ、あととーちゃん麻雀しないから!」
「おかーさん昔やってたって言ったもん」
といった感じで、母が夕飯に呼ぶまで喧嘩は続いたわけですが。そしてそこに保険ということばは影もなくなっていたのですが。
今では、父の気持ちが分かります。私立大に入学したいと言ったときも、家族旅行で車が壊れて動かなくなった時も、保険が助けになってくれました。それに、この前父が転んで頭を打ったとかいったときは、本当に肝を冷やしましたからね。大事にはならなかったので、何にもなくて、よかったなぁって、胸をなで下ろしたわけです。